鼻のトラブルは花粉症、ハウスダストなどのアレルギー症状や、鼻腔に膿が溜まってしまう副鼻腔炎、鼻水がのどに流れる後鼻漏など多岐に渡ります。
急性の症状であれば、適切な治療で比較的早く改善することが多いですが、慢性的に続く症状はなかなか改善まで時間がかかることも。
また、慢性的に症状が続くと、それが当たり前になってしまい、鼻のトラブルが起きていることに気づかないまま生活していることもあります。
普段は鼻の存在をあまり意識していませんが、トラブルが起きると不便を感じる鼻。体にとってはとても大事な働きの鼻。
今回はそんな縁の下の力持ち的な鼻の働きについてみていきます。
今年の春は花粉の飛散が多かったせいか、花粉症で悩む方の相談が多かったです。杉は終わったものの5、6月になりイネ科の影響を受けている方も見受けられました。
そして秋の花粉の時期は猛暑が続いたせいで、いつもより発症時期が遅れている印象でした。
花粉症で鼻水に悩まされるのは、体が花粉を病原体と勘違いしてしまい、鼻水の分泌量を増やしたり、異物をくっけやすくするために粘膜のひだを膨らませて鼻づまりをおこしたり、血流を増やして免疫細胞が鼻に集まりやすくした結果によるものです。
ある意味、異物を排除するための体の防御反応とも言えます。
防御反応とはいえなかなか辛い症状であることは間違いないです。
では、鼻は普段どんな働きをしているのでしょうか。
鼻の働きは大きく分けて二つあります。呼吸による空気の空調と嗅覚です。
人の鼻の中には三層の鼻甲介と呼ばれる大きなひだと、周囲に広がる副鼻腔と呼ばれる大きな空洞があります。
空洞の表面は鼻粘膜で覆われていて、この粘膜が空気中を漂う細菌などの異物を除去し、適切な湿り気を与えます。また鼻粘膜の下には多くの血管があり、空気を加温して肺に送り込みます。
鼻は肺に優しい空気を取り込むための加湿加温機能付き空気清浄機として働いているのです。1日に呼吸する空気の量はおよそ1万リットル、浴槽40杯分もの空気を鼻が調整してくれています。
そしてもう一つの働きは嗅覚、つまりにおいを感知することです。
鼻腔にはにおいを感知する細胞があり、空気中の化学物質に反応すると、その刺激が鼻腔上部の嗅球に伝えられ、においとして認識されます。脳は嗅球からのにおい情報を得て、その種類や強さなどを判断します。嗅覚はアレルギーや感染症などの疾患によって障害を受けることがあり、においを感じにくくなると食欲不振などに繋がることがあります。
このように何気なく過ごしている生活の中で鼻の働きがとても重要であることがお分かりいただけたかと思います。
慢性的に起きてしまった鼻のトラブルは治るまでに時間がかかることが多いですが、漢方治療で症状の改善、そして再発防止に繋がる体質へと導くことが可能です。
鼻のトラブルが気になる方は是非一度ご相談ください。
文責
高千穂薬局 管理薬剤師 青木秀一
お店の詳しい情報は下記をご覧ください。
花粉症対策のために日頃の養生はとても大切ですが、
症状が出た時の漢方薬での対処は大きく2つあります。
花粉などの外邪から身を守るバリアとして働く「衛気」。これを補うために黄耆という生薬を良く使用します。
代表的なものとしては
冷え型は花粉症の代表的なタイプで、
炎症が少なく、透明な水様鼻水が蛇口をひねったようにドバドバ溢れ出てくるような症状です。
この場合は温性の解表薬で対処します。
代表的なものとしては
炎症型は鼻づまり、ネバネバした鼻水、黄色の鼻水、目のかゆみ、充血、のどの痛みなど炎症症状が強い症状です。
この場合は解表薬+清熱薬で対処します。
代表的なものとしては
実際はもっと複雑なこともありますので、ご自分で判断せずにご相談ください。
三寒四温が続く季節。春の訪れとともに花粉症という憂うつな時期の到来でもあります。今や日本人の4人に1人が花粉症と言われています。
今年の花粉量は昨年の猛暑の影響により例年よりも多い地域もあるようです。関東はやや多いとのこと。
また、花粉飛散ピーク時は例年並みのようですね。とはいうもののスギ、ヒノキと続きますから、とにかく早く過ぎ去ってほしいのが本音ですね。
さて、毎年繰り返す花粉症のつらい不調。
これを和らげるためには「体質改善」がポイントになります。
中医学では病気がおこる原因を二つの方向から考えます。
正気とは西洋学的に言うと「免疫力」のようなもの。
この正気が不足していると、臓器の働きが弱くなり、邪気に対する防御力も低下して病気にかかりやすくなります。
邪気は気候などの影響で外から入り込むもの(風、火、暑、湿、燥、寒などの邪気)と、
体内で発生する内邪(痰湿や瘀血など)があります。
花粉などのアレルゲンは外から入り込む外邪ですね。
正気が不足せずに外邪から体を守るためには、
が大切です。
そのためには、
などの養生を意識することが大切です。
もちろん花粉を避けるために、マスクやメガネでガードすること、こまめな掃除、うがいや手洗い、などもお忘れなく!